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住まいや光に関する記事

隣の家との距離は何メートル? 部屋の日当たりの調べ方を徹底解説

  • 執筆者の写真: 鋼鈑商事株式会社 建材事業部
    鋼鈑商事株式会社 建材事業部
  • 2017年12月12日
  • 読了時間: 11分

更新日:11月10日


新築でよくある失敗のひとつが、「日当たりが悪い」という問題です。南側に隣家があると、その影になってしまい、せっかくの窓に光が入らない…というケースが少なくありません。こうした理由で、家づくりを後悔する方も多くいらっしゃいます。


「家を建ててみないと、日当たりが良いか悪いかわからない」と思われがちですが、実はそんなことはありません。日当たりは、「住所」「方位」「隣の家との距離と高さ」から、事前にある程度予測することができるのです。


この記事では、家を建てたあとに「日当たりが悪かった…」と悩まないために、日当たりを調べる方法をわかりやすく解説します。また、日当たりが悪い土地でも、光を取り入れやすくする間取りの工夫についてもご紹介します。


「南側の隣家と何メートル離せば、十分な光が入るのか?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。



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直射光の差し込む明るいお部屋にはいいことがたくさん!


日当たりが良く、自然光がたっぷり入る住宅には、暮らしを快適にするさまざまなメリットがあります。



明るい部屋がもたらす健康効果


自然光が差し込む部屋は、体内時計の調整や気分の安定に役立ち、うつ病の予防にも効果があるとされています。


日当たりの良い住まいは、心身ともに健康に暮らすために欠かせない要素です。


逆に、日当たりの悪い部屋ではストレスを感じやすく、以前に明るい部屋で暮らしていた方ほど違和感を覚えることが多いようです。




光を活かして電気代を節約


日当たりの良い部屋では、昼間に照明を使う必要が少なくなり、冬には太陽光で室内が暖まりやすくなるため、暖房費の節約にもつながります。


自然光をうまく取り入れることで、毎月の電気代を抑えることができます。




日当たりの良い土地は建築コストも抑えられる


日当たりの良い土地を選ぶことで、間取りの工夫や過剰な暖房設備が不要になり、建築費用を抑えることができます。


その分、キッチンや家具など、こだわりたい部分に予算を回すことも可能です。


注文住宅を検討している方は、できるだけ日当たりの良い土地を選ぶことが、快適で経済的な暮らしへの第一歩です。






部屋の日当たりを調べる4ステップ

お部屋の日当たりを調べる方法をステップごとに説明します。



ステップ1. 住所と方位を調査


まずは、家の「住所」と「方位」を確認します。


方位で注意したいことは、「南向き」という表記を信じすぎないことです。


「南向き」といっても、東寄りか西寄りかでも日当たりの条件は変わってきます。


東寄りの南向きであれば、午前中の日当たりがよく、夕方少し早めに光が入らなくなります。逆に西寄りの南向きでは、朝方は光が入りにくく、夕方は長い時間光が入ることになります。


方位は、地図アプリなどに住所を打ち込めば簡単に調べることが可能です。




ステップ2. 隣家との距離・高さの確認


次に、具体的に日当たりを考える窓について、隣の家との距離と隣の家の高さを確認します。


基本的には目算で十分のため、「隣までの距離はおおよそ3メートル」「2F建てなら7メートル」といった程度で問題ありません。



ステップ3. 隣りの家で窓が影になる角度を計算


ステップ2で調べた距離と高さを用いて三角関数によって角度を計算します。


隣りの家との距離をa、隣の家の高さと日当たりを調べる窓の高さの差をbとして、次のサイトから調べることができます。


〇底辺と高さから角度と斜辺を計算のページ(外部サイト)

"CASIO様 ホームページ内 『Keisan 生活や実務に役立つ計算サイト』"



ステップ4. 直射光が入る時期と時間を計算


家の住所地点での太陽高度も、次のサイトから調べることができます。


〇太陽高度(一日の変化)のページ(外部サイト)

"CASIO様 ホームページ内 『Keisan 生活や実務に役立つ計算サイト』"


太陽高度がステップ3で計算した角度よりも大きければ、直射光が入るということになります。

直射光が入る時間がより長ければ、日当たりが良い、と言うことができます。


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計算例(図解付き)


それでは、具体的な例で計算してみましょう。


モデルとして、東京都の住宅を考えます。


昼12時において、最も太陽高度の低い冬至で約31°、中間期といわれる春分・秋分で約55°、最も太陽高度の高い夏至で約78°となります。


・東京都における各季節12時での太陽高度

季節

太陽高度

冬至:12時

31°

中間期(春分・秋分):12時

55°

夏至:12時

78°


窓が真南に向いているとき、この太陽高度に隣の家が重ならなければ、直射光が入り、日当たりのよい部屋となるわけです。


続いて、隣の家の距離と高さから、隣の家が重なるときの角度を求めます。


例えば、隣の家との距離が5メートル、隣の家の高さが10メートルとした場合、三角関数を用いて計算すると角度は63°となります。上でご説明したステップとしてまとめます。


・日当たりの計算例 項目と参考値

項目

参考値

ステップ1

住所

東京都

調べたい方位

南(真南)

ステップ2

隣の家との距離

5メートル

隣の家の高さ

10メートル

ステップ3

a(隣の家との距離)

5メートル

b(隣の家の高さと日当たりを調べる窓の高さの差)

※調べる窓の高さを0メートルとしています

10メートル

隣の家で窓が影になる角度

63°

ステップ4

直射光が入る時期・時間・・・冬至:12時

直射光なし

直射光が入る時期・時間・・・中間期:12時

直射光なし

直射光が入る時期・時間・・・夏至:12時

直射光あり


図にするとこのようになります。


・高さ10mの隣家との距離5m-夏至南中時の日当たり

高さ10mの隣家との距離5m-夏至南中時の日当たり


・高さ10mの隣家との距離5m-春分・秋分南中時の日当たり

高さ10mの隣家との距離5m-春分・秋分南中時の日当たり


・高さ10mの隣家との距離5m-冬至南中時の日当たり

高さ10mの隣家との距離5m-冬至南中時の日当たり

お昼頃(12時)においては、春過ぎ~初秋くらいまでは日当たりが良くなりますが、晩秋~冬の間~初春は直射光はほとんど入らないことになります。


5メートル離れていても冬場は直射光が入らないのですから、隣家がもっと近い距離であれば、日当たりの条件はより厳しくなり、直射光が入らない期間はどんどん長くなってしまいます。




日当たり早見表


計算するのが面倒というひとのために、簡単な早見表を作成しましたのでご参考ください。


南側にある隣の家との距離は何メートル離せばいいか?という疑問について、結論から言うと、


「隣の家の高さが5メートルの時では、8~10メートル離せばいい」、

「隣の家の高さが10メートルの時では、10メートル以上離しても冬での日当たりは厳しい」


となります。



実際には、隣の家との距離だけでなく、床の高さ・窓の高さ・方位・隣の家の位置など、多くの要素が影響してきます。直射光が全く入らない、ということは少ないかもしれませんが、隣の家が近いほど、また、隣の家が高いほど、直射光は入りにくくなります。


普通の住宅地では10メートルも離すのは現実的ではないので、冬の日当たりについてはあきらめるか、後述の方法などを用いて日当たりを良くする工夫をしているのです。


ただし、あくまで真南向きの条件で、各月21日ころの12時に光が入るかどうかで決定しています。実際の条件とは異なる場合がありますのでご了承ください。

隣の家の高さ

隣の家との距離

影になる角度

日当たりの良い月

5メートル

2メートル

68°

5~7月


4メートル

51°

3~9月


6メートル

39°

2~10月


8メートル

32°

1~11月


10メートル

26°

通年

10メートル

2メートル

78°

6月


4メートル

68°

5~7月


6メートル

59°

4~8月


8メートル

51°

3~9月


10メートル

45°

3~9月



(参考)日当たりシミュレーション


鋼鈑商事の日当たりのシミュレーションで作成した画像

より詳細に日当たりと室内の明るさを確認する方法として、日当たりシミュレーションがあります。


日当たりシミュレーションとは、図面や周辺地図などをもとに、住宅と周辺環境をパソコンで再現することで、室内の明るさを計算する手法のことです。


条件を詳細に設定する必要があり、少々手間はかかりますが、具体的にイメージとして見ることも可能になります。

日当たりのシミュレーションをお考えの方はこちらをご覧ください。



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直射光を取り入れやすくする間取りは?


隣の家の距離や隣の家の高さがわかると、日当たりについての対策をすることもできます。新築時に直射光が入るように工夫について、いくつかご紹介します。



床の高さを工夫する


隣の家の高さは変えられませんが、自宅の設計によって床の位置を高くすることは可能です。床の位置が高くなることで、隣家との相対的な高さの差が生まれ、影になる角度が小さくなり、より多くの直射光を取り入れられるようになります。


住宅密集地では、2階をリビングにする設計や、部屋ごとに床の高さを変える「スキップフロア」などの工夫がよく用いられます。こうした設計によって、日当たりの良い空間を確保しやすくなります。


事前に隣家との距離や高さ、窓の位置などをしっかりと計算しておくことで、日当たりの良い間取りを設計することが可能です。


特に2階リビングは、光を取り入れやすくする有効な方法のひとつですので、ぜひ検討してみてください。




吹き抜けで光を取り込む工夫


吹き抜けを設けることで、1階の窓から光が入りにくい場合でも、2階の高い位置から自然光を取り込むことができます。直射光が差し込む効果に加えて、窓を複数設置できるため、部屋全体がより明るくなります。


ただし、吹き抜けにはいくつかの注意点もあります。2階の床面積が減るため、生活スペースが狭くなってしまう可能性があります。また、空間が広くなることで冷暖房の効率が下がり、光熱費が高くなることも考えられます。


吹き抜けを取り入れる際は、採光のメリットと居住性・コスト面のバランスを考慮して、設計を工夫することが大切です。

吹き抜けについては、こちらの記事もご参考ください。





隣の家からの距離をとる


敷地の広さにもよりますが、隣の家との距離をできるだけ離すことで、直射光が入りやすくなり、室内の明るさを確保しやすくなります。特に住宅密集地では、隣家の影の影響を受けにくくするための工夫が重要です。


事前の設計によって、建物をできるだけ北側に寄せ、南側に庭を設けることで、日当たりの良い空間をつくることができます。また、建物を「コの字型」にして中庭を設けることで、壁の位置をずらし、複数方向から光を取り入れることも可能です。これにより、隣家の影を避けながら、自然光を効率よく取り込むことができます。


ただし、コの字型の住宅は外壁の面積が増えるため、建築コストが高くなる傾向があります。また、北側に寄せる設計は広い敷地が必要となるため、土地の条件によっては実現が難しい場合もあります。採光性とコストのバランスを考慮しながら、最適なプランを検討することが大切です。



「光ダクト」を利用する


「光ダクト」のような採光装置を利用することも、自然光で明るくするための選択肢のひとつとなります。



・光ダクトありの場合の高さ10mの隣家との距離5m-冬至南中時の日当たり

光ダクトありの場合の高さ10mの隣家との距離5m-冬至南中時の日当たり


「光ダクト」は、直射光が差し込む窓から得られる光を、内側が鏡状の筒(ダクト)を使って反射させながら、暗いお部屋へ届ける装置です。


まだ知名度は低いですが、ビルや学校などの省エネ技術として、10年以上前から利用されている技術です。

「光ダクト」を住宅に設置するためのスペースが必要であったり、費用が掛かってしまうといったデメリットはありますが、新築で事前に設計すれば設置しやすくなります。

吹き抜けや住宅設計を大きく変えてしまうよりも簡単に自然光を取り入れ可能です。


工務店や住宅メーカーと相談し、各住宅に合わせた方法を検討してみましょう。



鋼鈑商事では、光ダクトを利用した採光システム「どこでも光窓」により、住宅の明るさについてのご提案を行っています。


日当たりや明るさにお悩みで、新築やリフォームをお考えの方はこちらを検討ください。



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まとめ


日当たりのよいお部屋を作るには、「住所」と「方位」、そして「隣の家との距離」を十分に把握しておく必要があります。


また、今は隣の家が建っていなくても、後々建ってしまうかもしれないということに注意して、日当たりのよい住宅を設計するようにしましょう。


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