姿見などに使われる鏡製品の材質は、ガラス製だけではないことをご存知ですか?
ガラス鏡のほか、金属ミラーや樹脂ミラーなどの製品も販売されていますが、鏡面状の反射特性を持つ仕上げ材は特殊で、一般的にあまり知られていません。
今回は、鏡製品の材質について、種類ごとに、価格感、反射率などの特徴について解説します。また、光ダクトに適した素材についても説明します。
各材質の鏡製品について
ガラス鏡
・構造:(表面)・・・ガラス/銀めっき/保護層・・・(裏面)
・価格:10,000~30,000 円/m2
・反射率:80~85 %
・鮮映性:◎・・・はっきりと像が映る(他の素材と比べてもっとも良い)
歴史は非常に古く、もっとも一般的に利用されている鏡です。
大量生産方法が確立されているため、汎用的な製品であれば非常に安価です。
鮮映性が非常によく、はっきりと像を映すことができるという特徴があり、姿見などのほか、映像装置などの光学部材といった特殊な用途でも利用されます。
デメリットとしては、ガラスのため非常に重くなってしまうこと、また、強い衝撃により割れてしまうこと、などがあげられます。
金属ミラー
・構造:(表面)・・・鏡面アルミ板or鏡面ステンレス板・・・(裏面)
※調色や高反射の処理も可能
・価格:10,000 ~ 100,000 円/m2(材質や厚みにより大きく変動)
・反射率:50~70%(ステンレス) 、80~85%(アルミ)、85~98%(高反射処理)
・鮮映性:△・・・像が歪んで映りやすい、施工の影響をうけやすい
鏡としての利用は少ないですが、像を映すような意匠の壁材や、照明用光源の効率を上げるための反射板として利用されています。
きれいな鏡面に仕上げることが難しいため、鮮映性のよい仕上げに研磨するほど高価になります。
光の反射率は、金属種によって異なり、ステンレスよりもアルミの方が高い反射率となります。
さらに、より反射率を上げるために、特殊なめっき処理を施した製品もあります。
加工性が良く、裁断したり曲げたりするようなことができるというメリットがあります。
一方、金属のために伸びや変形を生じやすく、きれいに像を映すことができないというデメリットがあります。
樹脂ミラー
・構造:(表面)・・・樹脂板/アルミめっき/保護層・・・(裏面)
・価格:20,000 ~ 50,000 円/m2
・反射率:80~85%
・鮮映性:◯・・・やや像がぼやける
ガラス鏡に代わる製品として出てきているのが、樹脂ミラーです。
透明性の高いアクリルやポリカーボネートなどを基材として、アルミめっきにより反射層が形成されていて、ガラス鏡のガラスを樹脂に置き換えたような構造となっています。
ニーズの拡大とともに製造技術も向上しているため、ガラス鏡よりは高いですが、それなりに安く購入できるようになってきています。
ガラスのデメリットである重量と割れやすさが改善され、軽く、そして割れないという特徴があります。
ですが、樹脂はガラスほどの平坦性が高くなく、また熱や水にも弱いため、像がぼやけたり、反ったりといったことが起こります。
鏡が小さく備え付けられているような家具や、製造現場や幼稚園といった高い安全性が求められるような場所での姿見として利用されてきています。
フィルムミラー
・構造:(表面)・・・保護層/アルミめっき/樹脂フィルム・・・(裏面)
※裏表逆もあり
・価格:5,000 ~ 30,000 円/m2
・反射率:80~90%
・鮮映性:△・・・やや像がぼやける、施工の影響をうけやすい
樹脂ミラーの一種で、板ではなくフィルムに反射性能を持たせた製品です。
フィルムは専用設備さえあれば、一度に大量の製品を作ることが可能なため、価格は最も安価です。
基材が薄い分、厚み分の光の吸収がなくなるため有利となり、比較的高い反射性能を有しています。
接着層が付与されているものもあり、直接板や壁に貼ることでお手軽に鏡を作ることができます。
きれいに貼るのにコツがいりますが、オリジナルの計上で簡単に鏡を作れるメリットがあります。
デメリットとしては、貼り付けられる側の凹凸の影響を受けやすいことです。
フィルム自体は非常に薄いため、貼り付けられる側の凹凸が大きいと、そのまま凹凸のついた状態の鏡になってしまいます。
金属樹脂複合ミラー
・構造:(表面)・・・アルミ板/樹脂板/アルミ板・・・(裏面)
※調色や高反射の処理も可能
・価格:20,000 ~ 50,000 円/m2
・反射率:80~85%(アルミ)、85~98%(高反射処理)
・鮮映性:◯・・・像が歪んで映りやすい
薄い金属ミラーを樹脂板に貼りつけた製品が金属樹脂複合ミラーです。
金属ミラーは厚くなるほど高価になりますが、樹脂板で厚みを持たせることで薄い金属ミラーでも強度と平坦性を確保しています。
価格は、ガラス鏡や樹脂ミラーなどと比較するとやや割高ですが、調色や高反射処理といった特殊な仕上げにより、様々な意匠用途へ対応できます。
ですが、鏡ほどの鮮映性はなく、やや像がぼやけたり、歪んだりして映ります。
光ダクトに向いている材質は?
光ダクトとは、内面を鏡とした管状の部材や構造のことであり、管の片側に入った光を鏡の反射によって反対側まで伝送する機能を有しています。
光ダクトは、自然光の届きにくいお部屋へ、別のお部屋の日当たりの良い窓の光を取り込み、導光することで、暗いお部屋を明るくするといった用途で利用されています。 まず、光ダクトに必要な特性として、とにかく反射率が高いことがあげられます。
光ダクトが長くなるほど、反射回数が増えます。反射率が90%としても、反射1回につき10%光量が落ちるということです。
10回反射すれば入射した光の半分以下に落ちてしまいます。 続いて、反射性能が劣化しにくく耐久性が高い必要があります。
光ダクトは、基本的には室内で使われますので、雨風や極端な温湿度、腐食性ガスなどの過酷な環境にさらされることはありませんが、住宅に使用されることを考えると最低でも数10年は性能を保持し続けなければなりません。 そして、加工性が良く、設置しやすいことも必要です。 製造や施工に時間を手間が必要になるほど、設置のために費用が多くかかってしまうことになります。
材料自体がそれほど安価ではないですので、設置費用は下げたいところです。 以上の理由から、鋼鈑商事の光ダクト「どこでも光窓」では、特殊な高反射処理をした金属ミラー、または、その複合ミラーを使用し、光ダクトの形状やサイズに応じて選択しています。
まとめ
ガラス鏡以外にも、あまり知られていませんがさまざまな鏡製品があります。
用途や価格に応じて使い分けることで、より鏡を便利に使用することが可能になります。
鏡について考える際は、ぜひご参考ください。