光ダクト×空気清浄システムの実証事例|住宅全体を1台で循環清浄
- 鋼鈑商事株式会社 建材事業部

- 2022年6月13日
- 読了時間: 6分
更新日:2 日前
近年、自宅で過ごす時間が長くなり、「家の中の空気環境」に関心を持つ方が増えています。
一方で、空気清浄機を各部屋に設置すると、次のような悩みも生まれがちです。
置き場所を取ってしまう
電源コードが邪魔になる
フィルター交換・清掃の管理が大変
そこで注目したのが、自然光を室内に導く採光設備である光ダクトです。
光ダクトは「ダクト構造」を持つため、光だけでなく空気を流す経路としても利用できます。本記事では、実際の新築住宅において、
光ダクト本来の採光性能を維持しながら
空気清浄機と循環ファンを組み込み
家全体の空気清浄が可能か
を検証した実証事例をご紹介します。
光ダクトとは?自然光を建物の奥まで届ける仕組み

光ダクトとは、内側が高反射仕上げになったダクト(管)を用いて、天窓や外壁の窓から入った自然光を、別の部屋まで反射させながら導く設備です。
住宅密集地では、
側窓から十分な光が入らない
天窓を設けても、直下の部屋しか明るくならない
といった課題があります。
光ダクトを使えば、隣家の影響を受けにくい屋根上の天窓から得た光を、1階まで効率よく届けることができ、窓のない部屋や暗くなりがちな空間でも、自然光の明るさを確保できます。
光ダクトについてもっと詳しく知りたい方はこちら
光ダクト×空気清浄システムの3つのメリット
1. 空気清浄機の置き場所が不要になる
一般的な住宅では、各部屋に空気清浄機を設置するケースが多く見られます。
その結果、床面積が圧迫され、インテリアの自由度も下がりがちです。
光ダクトを使った空気清浄システムでは、空気清浄機を機械室など1か所にまとめて設置できるため、室内空間をすっきり保つことができます。
2. 家全体の空気を1台で循環・清浄できる
光ダクト内に空気の流れをつくり、循環ファンと空気清浄機を組み合わせることで、各部屋の空気をダクト経由で回収・清浄し、再び住宅内へ送り出すことが可能になります。
これにより、特定の部屋だけでなく、住宅全体の空気環境をまとめて改善できる点が大きな特長です。
3. メンテナンス負担を大幅に減らせる
空気清浄機は、フィルター清掃や交換を怠ると性能が低下します。
複数台を設置した場合、それぞれのメンテナンス管理が必要になります。
本システムでは空気清浄機が1台のため、
管理が簡単
メンテナンス忘れを防ぎやすい
といったメリットがあります。
システムの仕組み|光ダクトで空気をどう流すのか
通常の光ダクトは、内部にほこりが侵入しないよう、両端が透明板で密閉された構造になっています。
空気清浄システムとして利用するためには、以下のような構造上の工夫が必要になります。
ダクト両端付近に給気・排気用の開口を設ける
循環ファンで空気を強制的に流す
空気清浄機を通して粉塵を除去する
清浄後の空気を住宅内上部へ排出する
また、住宅内には空気の通り道が不可欠です。
階段室や吹き抜け、引き戸や欄間などを活用し、家全体に空気が行き渡るような間取り計画が求められます。
実証実験の概要|検討建物と設備構成
検討建物
表. 建物概要
所在地 | 東京都(23区内) |
構造 | 木造3階建て |
延床面積 | 80.56 m2 |
住宅換気方式 | 第一種換気(ダクトレス), 4か所 |
光ダクトサイズ | W775mm×D355mm-L5,030mm |
光ダクトは天窓採光の垂直型とし、 天窓には日本VELUX社製の固定式トップライトを採用しました。

空気清浄機・循環ファンの構成
循環ファン:協立エアテック社製
空気清浄機:トルネックス社製(電子式集塵フィルタ)
循環ファンで光ダクト内の空気を吸引し、空気清浄機を通した後、3階天井付近へ排出します。
清浄された空気は、階段室などを通って住宅内を循環し、再び1階の光ダクト放光部から吸い込まれる仕組みです。

評価方法|明るさと空気清浄効果を検証
明るさの評価
光環境シミュレーションにより、
光ダクトなし
光ダクトあり
の床面照度を比較しました。
空気清浄効果の評価
サーキュレーション機能をOFFからONに切り替え、パーティクルカウンターを用いて、空気1リットル中の粒子数(1μm)を測定しました。
実証結果|採光性能と空気清浄性能の両立を確認
光ダクトによる明るさ向上
光ダクト設置時には、
階段付近
中央部の居室
を中心に、照度が大きく向上する結果が確認されました。
住宅密集地においても、有効な採光手法であることが分かります。



空気清浄機能の効果
空気清浄システムを稼働させることで、住宅内の粒子数が時間とともに減少し、家全体で空気が循環・清浄されていることが確認されました。

どんな住宅に向いている?導入時のポイント
本システムは、特に次のような住宅に向いています。
都市部・住宅密集地の戸建住宅
吹き抜けや階段室のある間取り
空気清浄機の設置台数を減らしたい住宅
一方で、設計段階からの検討が重要なため、新築住宅や大規模リフォーム時の導入が前提となります。
まとめ|光ダクトは「採光+空気清浄」の新しい可能性を持つ
今回の検証により、光ダクトは単なる採光設備にとどまらず、住宅全体の空気環境を改善するインフラとしても活用できる可能性が示されました。
自然光による快適な明るさ
家全体を1台で空気清浄
室内の省スペース化と管理負担の軽減
光ダクトの新しい活用方法として、今後の住宅設計における選択肢の一つとなる仕組みです。































































