ルーバーとは? 設置場所別の機能を整理しました
- 鋼鈑商事株式会社 建材事業部
- 1 日前
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ルーバーは、内装や外装などの幅広い範囲で使用される建材です。その用途は多岐にわたりますが、それぞれの用途で求められる機能が違います。
ルーバーについての基本的な情報と設置場所別の求められる機能を整理してみました。ルーバーを検討する際にご参考ください。
ルーバーについての基礎知識

ルーバーとは?
ルーバーとは、羽根やスラットと呼ばれる細長い板状の部材や角材を一定の間隔で平行に並べたものです。日本語では「ガラリ」や「鎧戸(よろいど)」とも呼ばれます。
ブラインドもルーバーの一種ですが、窓につけて光と視線をコントロールする機能に特化した比較的小さな製品がブラインドと呼ばれます。また、エアコンの吹き出し口付近の羽根もルーバーと呼ばれます。
ルーバーは機能性と意匠性を兼ね備えた建築部材として、様々な場所で活用されています。
ルーバーの材質
木製ルーバー
自然の材料を利用しているのため、温かみのあるナチュラルな風合いが特徴で空間に柔らかい印象を与えます。屋外で使用する場合は、経年劣化しやすいためメンテナンスが特に必要になります。
アルミ製ルーバー
軽量で耐久性、耐候性に優れており、外装によく用いられます。アルミニウムが不燃材のため防火性にも優れています。工業製品のため寸法や外観が均一なデザインになりますが、金属のため傷やへこみが目立ちやすくもあります。
樹脂製ルーバー(人工木)
耐水性、耐候性に優れ、メンテナンスが容易です。木目調の外観が多く、耐久性とデザイン性を兼ね備えた製品です。プラスチックのため環境負荷が高いですが、再生プラスチックを利用した環境にやさしい製品も増えています。
ガラスルーバー
採光性に優れ、ジャロジー窓などに用いられます。 ただし最近では気密性や強度の観点からあまり見られなくなりました。
ルーバーの配置や設置方法による分類
横型ルーバー
羽根や角材を水平にして、縦に並べる配置のルーバーです。
縦型ルーバー
羽根や角材を垂直にして、横に並べる配置のルーバーです。
固定ルーバー
羽板の角度が固定されています。
可動ルーバー
羽板の角度を調整できます。基本的には、日差しを調節する用途で利用されます。
ルーバーの設置場所別の機能

様々な場所で使われているルーバーですが、設置場所によって求められる機能が変わります。ルーバーの機能を説明して、設置場所ごとに求められる機能を整理します。
ルーバーの機能
視線遮断(目隠し)
ルーバーの適度な開放感を利用して、外からの視線を遮り、プライバシーを保護する機能です。ルーバーの羽根の形状や角度、設置間隔を変えることで遮断性を調整することもできます。
通気・換気
ルーバーの羽根の隙間から風を通し、室内の換気を促す機能です。特に浴室など湿気がこもりやすい場所に有効です。
採光・日よけ
ルーバーの羽根の隙間から光を取り入れながらも、直射日光によるまぶしさを和らげます。直射日光は季節や時間で太陽の方位や高度が変わるので適切な設計が必要です。
遮熱
ルーバーで日差しを遮り、光が入る量を減らすことで、ルーバー後方の温度上昇を抑制します。
雨よけ
窓や換気口への雨水の侵入を防ぎます。ただし、隙間があるので、完全に侵入を止めるのは困難です。
意匠性
ルーバーの凹凸感を利用して建物の外観や内装のデザイン性を高める機能です。また、LED照明などと組み合わせることで、光源を隠したり陰影を強調するような光の演出にも利用されます。
騒音緩和
ルーバーの間隔を調整することで音の伝わりを変えて、騒音をある程度遮断する機能です。
ホコリの侵入防止
ルーバーの隙間を調整することで、ある程度のホコリの侵入を防ぎます。
ルーバーの設置場所と機能
天井ルーバー
天井に取り付けられるルーバーです。
主な目的は意匠性の向上で、単調になりがちな天井面に奥行や立体感を演出し、洗練された印象を作り出すことができます。また、照明器具を隠して間接照明のような柔らかな光を拡散させることで、落ち着いた雰囲気の空間を演出することも可能です。
天井ルーバーには、空調設備や配線などを目隠ししたり、空調効率を高めたり、また、天井をなくして空間の開放感を高める機能もあります。
内装仕上ルーバー
室内の壁面に沿って取り付けられるルーバーです。
基本的には、空間のデザイン性を高める目的で使用されます。天井ルーバーと同じように立体感や照明による空間演出に利用されます。
間仕切り用ルーバー
空間と空間を区切るようにして設置するルーバーです。
間仕切り用ルーバーは、壁のように完全に遮断するのではなく、視線を適度に遮りつつ、光や風を通すことができるため、開放感を保ちながら空間を緩やかに区切ることが可能です。
また、目隠しとしての機能もあります。収納スペースや設備機器などをさりげなく隠し、生活感を抑えたすっきりとした空間を演出したり、プライバシーの確保もできます。逆に、奥が見えてはいるので防犯性も確保できます。
ベランダ・フェンス用ルーバー
間仕切り用ルーバーに近いですが、屋外で敷地や建物の内外を区切るために取り付けられるルーバーです。
通気性や採光を確保しつつ、外部からの視線を遮ることが出来ます。プライバシーもありつつ、防犯にも役立ちます。
デザインもシンプルでスタイリッシュなものが多く、お家の外観をおしゃれに見せてくれる効果もあります。木目調のものや、様々な色のものがあるので、お家の雰囲気に合わせて選ぶことができます。
窓用ルーバー
屋外用のルーバーで、特に窓の外側に設置される製品です。
窓用ルーバーに求められる主な機能は、窓に入る日差しの調整です。設置する窓の方位と地域を考えて、ルーバーの羽根の形状やルーバーとルーバーの間隔を最適化することで、適度に自然光を取り込みつつ、直射日光による眩しさを軽減できます。
また、日差しを遮ることによる室内の熱負荷を抑えるられ、窓の防犯性能も向上します。
ルーバーが合っていない場合は、眩しさを軽減できなかったり、または自然光を遮りすぎて暗くなったりしますので、窓用ルーバーの計画とは特に注意が必要です。
鋼鈑商事の採光設計について
鋼鈑商事では光ダクト事業で培った明るさのシミュレーション技術を活用して、建物の日当たりやルーバーなどの採光に関する建材の効果を検証するお手伝いも行っています。
下の図は、とある学校の設計について、窓用ルーバーの形状を検討した事例となります。
設計者様のお悩みとして、校舎の窓が西を向いており、西日による眩しさや温度上昇を抑えたい、というものでした。ルーバーは検討中の製品からピックアップして効果を検証しました。

下の写真は、時間を変えて日当たりの様子を3Dパースに下図となります。


ルーバーなしと比べて、ルーバーを用いることで床に延びる直射日光の照射部分が減少していることが確認されました。ルーバー2では、照射部分に縞々となっている様子が見られ、ルーバーとルーバーの間から直射日光が抜けていいて、ルーバー1の方が遮光効果が高いことが分かります。
ほかにも、照度などの数値比較も行っており、ルーバーの効果を可視化してご提案しました。
光ダクトに限らず、昼光利用や遮光といった光に関する課題があれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
ルーバーについて基本的な事項や、設置場所に応じた機能を説明しました。
ルーバーは非常に幅広く利用されており、どのようにして製品を選べばよいのか難しいですが、設置場所に応じて必要な機能を考えることが重要です。
採光や遮光を目的とした窓用ルーバーは、方位や地域によっても効果が変わるので、形状から検討を行うとより効果的なルーバーを選ぶことができます。