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住まいや光に関する記事

  • 執筆者の写真鋼鈑商事株式会社 建材事業部

「どこでも光窓」スタッフブログ~光ダクト採光面積加算の進捗状況

更新日:2023年12月15日


皆さん、こんにちは。


久しぶりのスタッフブログとなりますが、今回は以前実験の模様をお伝えした光ダクトの採光面積加算のための申請の進捗状況と具体的な内容を説明します。


申請の概要

現状、光ダクトは建築基準法上の採光のための窓として認られるか、という質問について明確な基準がありませんので、建築主事様の判断次第となっています。


住宅密集地域では、いわゆる採光面積が足りず、お部屋が納戸として申請されているケースが多くあります。


もちろん、納戸を寝室として利用することもできますが、建築基準法に定める良好な衛生環境とは認められていませんので、住宅を提供する側も住む側も注意して利用する必要があります。


今回の申請では、住宅密集地における窓の「採光」の明るさの機能に限って、その不足を屋根面の開口部から採光するタイプの光ダクトで補完することで、良好な衛生環境を有する居室の確保に貢献することを目的として提案しています。


下の図が申請の概要を表す図となります。

一般的に、天窓は有効な採光面積として認められています。

しかし通常、天窓による採光は平屋の1階や2階建ての2階といった、天窓に接している部屋を対象としており、2階建ての1階のような階を貫通する間取りでの利用については想定されていません。


計算することは可能ですが、天窓からの距離が長くなるにつれて補正係数が掛かり、有効な採光面積として加算されません。

今回の申請では、通常の壁面の開口部のみでは有効採光面積が不足する場合に屋根面の自然光を光ダクトで下階へ導く場合も、新たに採光補正係数を定めることによって有効採光面積として加算できるようにしたいと考えています。


実際、光ダクトの効果はどれくらいか?

採光部となる天窓の光量は、側窓の3倍

今回の申請では、天窓を採光部とした光ダクトについて提案しています。


天窓は、採光面積の基準にもあるように、壁に設ける窓(側窓)と比べて、3倍の光量が得られる、とされています。


天窓が上部方向が全てひらけているのに対し、側窓は下方向には地面があるため、正面から斜め上方向からしか空の光をとりこむことができません。


ガラスやサッシに違いはほとんどありませんので、天窓の方が多く採光できることになります。

光ダクトの効率は、白色の壁を4倍長くした構造と同程度

この申請のための資料として、光ダクトと白色の壁について、窓から入った光の何パーセントが部屋へ届くかを表した採光効率(さいこうこうりつ)という指標で比較検証してまとめています。


検証の結果、通常天窓から白色の下がり壁と比べて、4倍長くしても同程度の光量が得られることがわかりました。

これは、通常の天窓では光が届かなかった2階部分を貫通するような吹き抜け構造でも、光ダクトであれば、それなりの明るさが得られることを意味しています。


ただし、検証の結果はあくまで効率での比較です。


室内で得られる光量は、採光部で取り込まれる光量よりはおおきくなりませんので、多くの光を取込むためには天窓とそれに合わせた光ダクトのサイズを大きくする必要があります。

周辺環境に影響されにくい

天窓による採光ですので、隣家や周辺建物で陰になるといった影響を比較的受けにくくなります。


住宅を建てる際は、都市計画法による高さの制限や斜線規制という境界線からの距離と高さの制限をもとに設計されます。

同じ区画内であれば、概ね同じくらいの高さまでしか建てられませんので、屋根の位置であればほぼ隣家の影響を受けないことになります。


このため、天窓においては、その日の天気による明るさと色による影響は強く受けますが、周辺環境による影響は小さくなるのです。


住宅の密集地であれば、隣家との距離が近くて十分な明るさや開放感を感じられにくいため、天窓採光は非常に効果的であると言えます。


申請が通るとどう変わるか?

住宅選びの際の選択肢が増える

今まで「納戸」や「サービスルーム」として設計されてきたお部屋も、光ダクトを使うことで無理な設計変更なしに快適な「居室」とできる可能性があります。


もちろん、「納戸」でも日当たりを気にしないという方は問題なく寝室として利用することもできました。

ですが、日当たりを気にする人が多いですので、そういった方は自然光による明るさを確保できる光ダクトを利用するかしないかを選ぶことも出来るようになります。


販売する側も、日当たりに対する需要や費用を考慮しながら、採用不採用を検討しますので、住宅選びはより広い選択肢のなかから自由に決められるようになるのではないかと思います。

注文住宅でも光ダクトを利用しやすくなる

各住宅会社、設計事務所の光ダクトに対する知名度や理解が深まり、設計や施工がやりやすくなります。

そのため、住宅で光ダクトの導入を検討する際のハードルが大きく下がります。


多く使われるようになれば、導入のためのコストも下がっていくと思われます。


申請の状況

今回の申請は、一般社団法人 建築性能基準推進協会のコンタクトポイントを通じて行っています。


コンタクトポイントとは「建築基準法」や「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の評価方法基準など、新しい技術に対応した基準の整備・見直しの提案を受け付けるための窓口で、申請内容は整理して国土交通省へ伝えられることになります。


検討内容はだれでも見れますので、下記のリンクよりご覧ください。


昨年10月頃に申請を行い、書類が受理されて検討中となっています。


検討の期間は長期になることがあり、さらに今回は新柄コロナウイルスの影響によりしばらく見当も止まっていそうですので、いつ可否がわかるかわかりませんが、進捗がありましたら、また本ページ等でお伝えしたいと思います。


フッター背景画像 鋼鈑商事「どこでも光窓」

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