
どこでも光窓について
光ダクトによる自然採光システム 「どこでも光窓」

「どこでも光窓」とは、建築物の窓やトップライトから取り込んだ自然光を「光ダクト」により高効率に伝送することで、窓の無い部屋や自然光の入りにくい部屋へ光を届けることができる自然採光システムです。

「光ダクト」とは、光の反射率が高い特殊な素材を使用した内面が鏡のような筒状の部材です。
複数回反射を繰り返して光を運びますので、より光の反射率が高い方が伝送の効率よくなります。光の反射率が95%以上の高反射鏡面材を使用した「光ダクト」が、鋼鈑商事の「どこでも光窓」です。
「どこでも光窓」の構成

「どこでも光窓」は、左図の模式図のように
・「採光部」
・「光ダクト(導光部)」
・「放光部」
によって構成されています。
光を取り込む「採光部」

「採光部」は屋外の光を「光ダクト」に取り込む部分です。ここに太陽光が当たらないと、「どこでも光窓」の光量が減少するので、周囲の建物や高さを考慮して位置を決める必要があります。一般的な天窓や窓を利用します。
※採光部となる窓や天窓は製品には含まれていません。
光を取り出す「放光部」

「放光部」は取り込まれた光を室内に放出する部分です。壁や天井に穴をあけて光を透過させる部材を設置することで作られ、内装やデザインに応じて部材や構造を変更できます。
※放光部の透過部材はオプションとなります。
どこでも光窓のメリット
自然光ならではの明るさ
近年の研究から、人が健康的な生活を送るためには、太陽の光が必要不可欠であることがわかってきました。
例えば、人間の生体リズム。私たちの体は、太陽の光を浴びることで、そのリズムを地球の自転の周期(24時間)に合わせ、整える力を持っています。逆に、日の光が入らない室内で不規則な生活をしていると、生体リズムが乱れて健康にも悪影響を及ぼします。
また、体の健康だけではなく心の健康という面からも、太陽光は私たちに影響を与えます。人工照明環境で学習している時よりも、自然光に近い波長の光源で学習しているときの方が、子供の集中力が上がり、学習効果も高いという研究結果があります。
人工照明にはない明るさや色味、また自然なゆらぎを持ち、一日の時間帯や天気によっても変化する太陽光。その豊かな恵みを生かし、すこやかで潤いのある環境づくりをお手伝いします。

より自由な間取りを実現
住宅を建てる際、土地購入から検討する方が多いですが、土地の面積や形状、隣地の建物や周辺の立地環境などをすべて満足することは非常に困難です。
例えば、日当たりのよい方角とされる南面に隣地の建物が接している場合、日当たりのよいリビングを作りたいと考えたときには住宅プランが限られてしまいます。
また、住宅の北側に面した部屋や家の中廊下など窓の取れない箇所は光が入りにくく、暗い空間となってしまいます。
「どこでも光窓」は、直接明るい窓が取れない部屋にも、自然光を取り入れることができます。それにより、従来設計では暗くなるためにできなかった間取りの設計が可能となり、家づくりの自由度を広げることができます。

メンテナンスフリーでエコな生活
「どこでも光窓」は、屋外の自然光を取り込み、光ダクトによる光の反射を利用した自然採光システムです。電気まったく使わないため、照明電力は必要ありません。
また、光ダクトの中は密閉構造となっていますので埃や材料劣化による交換が必要ありません。採光部の窓ガラスは汚れたり劣化したりする可能性はありますが、光ダクト本体はメンテナンスの必要もなく、維持費もかかりません。
さらに、採光部と放光部に空気が密閉されている光ダクトが挟まれているため、部屋と屋外との断熱性が高い構造になっています。そのため冷暖房費も抑えられます。
「どこでも光窓」は省エネをサポートし、人にも環境にも優しい暮らしを実現します。

どこでも光窓の特徴
特徴1. 住宅に合わせた自由設計
「どこでも光窓」は、設置する住宅ごとに、光ダクトの大きさや長さを自由に変えることが可能です。
一戸建て住宅は、基本的に違う形で、間取りも異なります。さらに立地条件によって方位も異なるのはもちろん、隣家の高さや距離で日当たりの状況も変わります。
また、お部屋に必要な明るさに応じても光ダクトの大きさを変えています。多くの時間を過ごす事になるリビングと歩行に問題ないくらいの明るさで十分な廊下では、光ダクトに要求される光量が異なります。
それぞれの住宅や住む人のニーズに対応出来るのが、「どこでも光窓」です。

特徴2. 取付け前の無料光量計算を実施
「どこでも光窓」は、導入検討時に無料で光量計算を実施しています。
自然光を利用する「どこでも光窓」は、電気照明と異なり、一定の明るさが得られるわけではありません。さらに、自由な設計をする「どこでも光窓」は、住宅ごとに得られる光量が変わります。
せっかく導入して、暗いと感じることのないよう、ダクト形状や地域、方位を加味したシミュレーションによって、光量を確認しています。
季節や時間による変動する明るさと、照明器具と比べてどのくらいになるのかをお伝えします。そして、過去事例の経験的に暗くなりそうな場合には明るくするための別形状での設計を行い、住む人の満足できるようなご提案をしています。

特徴3. 簡易な現場施工
「どこでも光窓」製品の施工は非常に簡単で、大工さんが施工可能です。
まず、事前のお渡しする製作図の寸法で、空調ダクトと同じような角ダクト形状に加工された光ダクトが現場に納入されます。
次に、設置箇所と取付ける順番を確認し、ダクト部材を周辺の柱や梁から持ち出した支持材で固定します。同時に光ダクトのフランジ部分をボルトナットで接続してダクトを延長します。全ての部品をつなげれば、ダクト取付けは完了です。
天井施工時に、乳半板などで放光部を仕上げて完成です。
※採光部となる天窓や側窓は製品に含まれませんので、事前に設置しておく必要があります。

特徴4. 雨漏りや断熱性への影響なし
「どこでも光窓」の採光部は、建築物の開口部を用いるため、雨漏りや断熱性は窓の性能に依存します。
「どこでも光窓」は、採光部となる日当たりの良い窓から入る光を、光の届きにくいお部屋へ届けるという構造です。外部と面しているのは窓のため、光ダクト自体は完全に室内に設置され、屋根や外壁には影響を及ぼしません。
採光部とする側窓や天窓は、汎用的に使用されているどの製品も使用することができます。そのため、雨漏りについては十分な対策がされていますので、施工方法通りに取付けられた窓を利用すれば雨漏りの心配はありません。
また、断熱性については、屋根や外壁と窓部分が外皮の断熱ラインとなるため、光ダクトによる屋外からの熱の出入りや断熱の欠損はありません。
※天井断熱の場合には、光ダクトスペースを断熱材で囲う必要があります。

特徴5. 空間に合わせた光の演出が可能
「どこでも光窓」の放光部は、住宅に合わせて選べます。
「どこでも光窓」の製品の重要な部材は、高反射率鏡面材を用いた光ダクト部分ですが、放光部の部材については製品に含まれないため、それぞれの住宅に合わせて決めることができます。
光の透過性が良く、かつ、光ダクト部材の影が映り込まない、という基準で推奨の乳半アクリル板を提案していますが、内装によっては合わない場合もあります。障子にしてよりやわらかい光を出したり、あるいは、透明に近い部材を使用して直射光を生かす、といった使い方ができます。
また、天窓の光を壁から出す、あるいは、窓の光を天井から出す、といった光の取り込み方自体も、光ダクトを使うと自由にできます。

明るさのシミュレーション技術
鋼鈑商事の光ダクト「どこでも光窓」では、光ダクト導入の際に、事前に明るさのシミュレーションを行っています。鋼鈑商事が持つ明るさのシミュレーション技術についてご紹介します。
光解析による材質・形状設計
明るさのシミュレーションにおいて、まず光ダクトの形状設計を行います。 建築図面を元に、住宅に設置可能な光ダクトの長さや大きさ、経路を決めて三次元CADソフトによるシミュレーション用のモデルを作成します。
作成したモデルを、光線追跡ソフトや光ダクト専用計算ソフトに適用し、反射・透過などの物性を構成する材質に入力してシミュレーションを行います。
満足な明るさが得られない場合は、ダクト形状を修正して再度シミュレーションを行い、形状を決定します。
右図は、住宅に光ダクトを設計して、光線追跡ソフトによるシミュレーションを行った画像です。採光部である天窓から採光し、床面にどの程度届くかをシミュレーションしています。

お部屋の明るさを再現
室内空間における明るさをより具体的に考えるために、三次元ビジュアル化ソフトを使用してシミュレーションを行います。
この画像により、実際に住宅を建てる前に室内空間の明るさや光ダクトの効果を把握することができます。住宅の設計をする際にも暗い箇所の発見やインテリアによる陰影なども確認することができ、より提案しやすくなります。
右図は、吹き抜けのリビングへ光ダクトを導入した場合の効果についてシミュレーションを行った事例になります。
光ダクトだけでなく、通常の建築構造設計にも鋼鈑商事のシミュレーション技術が利用されています。大規模な吹き抜け空間の各階での明るさや、柱や開口面積などの形状設計などにも協力しています。
本シミュレーションは時間がかかるため、検討する内容に応じて行っています。

導入までの流れ
「どこでも光窓」の導入までの流れについて、状況の確認からシミュレーションによる光ダクトの提案、施工までの流れをご紹介します。現状における採光状況をヒアリングにより確認し、住まいに合わせた最適なプランを提案します。光ダクトの取付け施工は、工務店と相談して行います。
導入フロー












