ホームセンターやインターネットで目にするようになった、「採光機能を有するレースカーテン」や「採光ブラインド」といった製品ですが、どのようなものかご存じですか?
「採光」という名前のついたアイテムを利用すると、暗いお部屋をもっと明るくできます。ですが、採光アイテムにはいくつかの注意点もあります。
採光アイテムについての種類と特徴、そして使用時の注意点をまとめてご紹介します。
採光の意味とは?
採光(さいこう)とは、建築物の室内における光環境を調整するために、屋外から自然光をとり入れることです。
自然採光(しぜんさいこう)や昼光照明(ちゅうこうしょうめい)と呼ばれることもあります。
建築基準法においては、居室に求められる室内居住環境の一つの要素として、採光が明記されています。
居室の広さに応じて設けなければならない採光のための開口部の面積が規定され、原則的に窓のない部屋は居室として認められません。
ですが、建築基準法による規定は、必要最低限の窓の大きさについてであり、部屋の明るさを保証しているわけではありません。
方位や周辺環境によって、同じ窓の大きさでも、日当たりによって明るい部屋と暗い部屋ができてしまいます。
太陽の直射光が入る窓では、明るすぎてまぶしかったり、明るさの対比で部屋の奥が暗く感じてしまうといったこともあります。
このような直射光による極端な明るさを緩和し、部屋全体の明るさのむらを小さくする製品が「採光」と名のつくアイテムです。
採光アイテムの種類と特徴
「採光アイテム」の原理や効果などは種類によって大きく異なります。それぞれの採光アイテムの特徴を整理してご紹介します。
採光カーテン
「採光カーテン」というハッキリとした定義ではなく、「採光レースカーテン」や「採光拡散レースカーテン」という名前で販売されています。
製品名は違っても、特長は基本的に共通しています。
採光カーテンは、通常のカーテンを比較して太陽光を良く透過することで室内に多くの光を取り込み、さらに太陽の直射光を広く拡散させることで、室内が均一に明るくなります。
光を拡散させる機能による外からの目隠し効果も期待できます。
通常のカーテンと変えるだけで利用できるという手軽さも魅力の一つです。
透過性能や目隠し性能に加えて、紫外線カット機能や、熱線を遮断する遮熱機能の有無も考慮して製品を選んでみましょう。
採光ブラインド
採光ブラインドは、採光カーテンと同じように、太陽の直射光を透過し、拡散させることでお部屋全体を明るくする効果があります。
ブラインドですので、直射感が欲しい場合などには、角度を調節することで変化もつけられます。
採光ブラインドの羽だけを変えられないため、窓ごとにカーテンレールやロールスクリーンなども考えて設置する必要があります。
採光フィルム
採光フィルムは、窓に貼ることで光を拡散したり、光の向きを変えて床ではなく天井に光を当てることで、間接的に明るくする目的で使われるフィルムです。
拡散するタイプはいくつか製品化されていますが、向きを変えるタイプは太陽の方位や高度によって安定した効果を得にくいという理由であまり見られません。
採光フィルムも、窓に貼るだけですので、カーテンやブラインドがあっても簡単に使用できます。
参考:採光装置
上記で紹介した採光アイテムとは違い、窓に入ってきた光を利用するというパッシブな製品ではなく、屋根や屋上などに設置して使用するという装置です。
太陽光を自動で追尾し、太陽の直射光をより積極的に受けとり、室内側に放射できるよう工夫されています。
追尾装置の有無や、光を運ぶために光ファイバーや光ダクトといった光を運ぶための部分の有無などが異なる製品が、各社から販売されています。
窓から光が入らないお部屋も明るくできるメリットがありますが、太陽光の追尾装置や一般的ではない部材などが高価であることや、リフォーム工事が必要となるため設置しにくいことがデメリットです。
採光アイテムの注意点
お部屋を明るくできる便利な採光アイテムですが、「設置すればすぐに明るくなる」という思い込みは禁物です。いくつか注意点がありますのでぜひ参考にしてください。
採光の悪い窓では効果は小さい!
採光アイテムは、光を生み出すわけではありません。採光アイテムは、太陽の直射光を拡散させて光をお部屋全体に広げることで明るくする効果であるため、ある程度採光条件の良い窓に設置する必要があります。
採光の悪い窓では、設置しても効果が小さくなって期待したほどのメリットが得られない、ということのないように、設置場所は慎重に選ぶようにしましょう。
まぶしくなりすぎることも!
太陽の直射光が強すぎると、採光アイテム自体が電気照明のように光って見えることになります。
採光アイテムを使わない場合は、床や壁に光が当たるため、それほどまぶしく感じません。ですが、採光アイテムを使う場合は太陽直射光の入射角度次第で直接目線に入ることもあります。
まぶしすぎるときは、インテリアの位置により視線の方向を工夫する、あるいは、遮光カーテンなどで光をやわらげるようにするなどの対策を考えましょう。
まとめ
使い方次第でお部屋をもっと明るくすることが可能な「採光」アイテム。
まだ、採光カーテン・採光ブラインド・採光フィルムといった名前の知名度がそれほど高くはありませんので、使い方や感想などの情報もあまり出てきていません。
お部屋が暗いからといってすぐに導入するのではなく、注意すべき点があることを理解してから使用することをおすすめします。