新築でリビングが暗いと後悔しないために確認すべき3つのポイント
- 鋼鈑商事株式会社 建材事業部

- 2020年11月13日
- 読了時間: 8分
更新日:7 日前
土地探しから始まった新築住宅の計画。ついに完成を迎える瞬間は、誰にとっても感動的なものです。
しかし、いざ新居に足を踏み入れてみると、「リビングが思ったより暗い…」と感じてしまうことも少なくありません。
これは、設計段階で「明るいリビングにしたい」と要望を伝えていても、図面だけでは実際の明るさをイメージするのが難しいためです。
そこで今回は、新築後に「思っていたより暗かった」と後悔しないために、設計段階で図面からリビングの明るさを確認する際のポイントをご紹介します。
建築前のリビングの明るさをイメージしにくい

新築でリビングが暗いと感じる理由
新築住宅に引っ越してから、「リビング、暗いかも…」と感じる方は意外と多いものです。
設計段階で「明るい空間にしたい」と要望を伝えていても、図面や完成予想図だけでは実際の明るさを正確にイメージするのは難しく、完成して初めて「思っていたより暗い」と気づくケースが少なくありません。
明るさは「ルクス(lx)」という照度の単位で表されますが、日常生活でこの数値を意識することはほとんどなく、感覚的なズレが生じやすいのです。
自然光の変動と設計の難しさ
リビングの明るさに大きく影響する自然光は、時間帯や季節、天候によって大きく変動します。
人工照明であれば器具の種類や配置からある程度の明るさを計算できますが、自然光はそう簡単にはいきません。さらに、周囲の建物や植栽の影響も考慮する必要があり、正確な予測には高度なシミュレーションが必要です。
多くの設計者は、過去の経験や会社の標準仕様をもとに窓の大きさや配置を決めていますが、一般的な設計手法では自然光による照度を数値化することが難しく、住まい手とのイメージ共有が不十分なまま進行してしまうことがあります。
新築時に後悔しないためにできること
リビングが暗い、と後悔しないためには、設計段階で明るさについてしっかりと確認することが重要です。可能であれば、日照シミュレーションや照度計算を活用し、時間帯ごとの光の入り方を可視化することで、完成後のギャップを減らすことができます。
また、モデルルームの見学や、実際のルクス値を体感できる機会を設けるのも有効です。
明るさは暮らしの快適さに直結する要素だからこそ、感覚だけに頼らず、具体的な情報をもとに判断することが大切です。
明るさ改善リフォームの方法と難しさ

お部屋の明るさをリフォームで改善するための方法について、費用感や実際に行う場合の注意点含めてご紹介します。
窓を増やす・大きくする
「リビングが暗い」と感じたとき、最も直接的な改善方法は、屋外に面する窓を新設したり、既存の窓を大きくすることです。費用は窓のサイズによって異なりますが、一般的には20〜50万円程度が目安とされています。
ただし、小さな窓を追加しても劇的な明るさの変化は期待できません。明るさをしっかり確保したい場合は、できるだけ大きな窓を設けることが重要です。また、窓の位置によって採光性は大きく変わります。直射日光が入る方角であっても、隣家の影や距離によって光量が制限されることもあります。
さらに注意すべきは、住宅の構造上、大きな窓を設置できないケースがあるという点です。特に「耐力壁」と呼ばれる構造壁には窓を設けることができません。日当たりの良い場所に窓を設けたくても、構造的な制約で実現できないことも多く、リフォームの難しさの一因となっています。
吹き抜けを作る
吹き抜けは、リビングの明るさを改善する有効な手段のひとつです。高い位置に窓を設けることで、隣家の影になりにくく、より多くの自然光を取り込むことができます。さらに、屋根に天窓を設置できる点も大きなメリットです。リフォーム費用は吹き抜けの規模によりますが、おおよそ150〜300万円が相場です。
ただし、上階の居住スペースが減ることや、窓の追加工事が必要になる場合がある点には注意が必要です。また、構造上の制約から柱や梁を補強する必要が生じ、かえって空間が狭く感じられることもあります。吹き抜けを設ければ必ず明るくなるとは限らないため、事前の検討と専門家の判断が重要です。
間取りを大きく変える
リフォームで明るさを改善する方法のひとつに、間取りの変更があります。たとえば、間仕切り壁を撤去することで複数の方角からの採光が可能になり、家具の配置によっても光を活かしやすくなります。費用は10〜30万円程度が目安です。
また、2階の日当たりが良い場合には、リビングを2階に移すことで自然光を有効に取り入れることができます。ただし、キッチンなどの水回りも移動する場合は大規模な工事となり、500〜1,000万円ほどかかることもあります。
いずれの方法も、窓の位置や日当たりによっては期待したほど明るくならないケースもあるため、事前の検討が重要です。こうしたリフォームは費用も労力も大きいため、建築前にしっかりと明るさを確認しておくことが、後悔を防ぐポイントです。
図面承認前に確認すべき3つのポイント

実際の室内の明るさは、天気や室内の仕上げなどによっても変動しますので明確に計算すること難しいです。
ここでは、お部屋を出来るだけ明るくなるようにするためのポイントについてご紹介します。
窓の方位を確認する
図面の立面図と平面図を見れば、各部屋の窓がどの方位に面しているかを確認できます。日当たりを重視するなら、南面の窓を中心に、午前に光が入る東面、午後に光が入る西面の窓も意識しましょう。
北面の窓は直射日光は期待できませんが、天空光(空全体からの柔らかい光)はしっかり入ります。窓の方位による光の入り方と、部屋の使い方が合っているかを事前に確認することが、明るさの後悔を防ぐポイントです。
窓の大きさと位置をチェックする
リビングや寝室などの居室には、建築基準法で「床面積の1/7以上の窓面積」が必要と定められています。これは天空光(空からの自然光)を確保するための最低基準で、方位や直射日光の有無は考慮されていません。ただし、隣家との距離が近い場合などは、十分な光が入らないと判断されることもあります。
たとえば8畳の部屋なら、約2㎡の窓面積が必要ですが、明るい空間を目指すなら床面積の30%程度を目安にするとよいでしょう。また、部屋に奥行きがある場合は、窓が1カ所だけだと光が奥まで届かず、暗く感じることがあります。そのため、窓の数や配置にも注意が必要です。
図面を確認する際は、窓の大きさだけでなく、部屋全体に光が行き渡るような配置になっているかもあわせてチェックしましょう。
窓の正面に何があるかを確認する
リビングが暗い、と感じる原因のひとつが、窓の正面にある環境です。直射日光をしっかり取り入れたい場合、窓の方位だけでなく、その正面に何があるかが非常に重要です。たとえば、南側の窓の正面に隣家があると、特に1階では日差しが遮られ、冬場はほとんど直射光が入らないこともあります。
具体的には、冬至の正午に太陽高度が約30°となる東京都の場合、地面から2mの高さの窓に日が差すには、隣家との距離が約10m必要です。さらに、時間帯がずれたり、窓の向きが真南でない場合は、より厳しい条件になります。また、直射光がなくても、隣家が近いと天空光も入りにくくなり、窓があっても暗く感じることがあります。
一方で、道路に面した窓は光が入りやすい反面、視線対策でカーテンを閉めがちになり、結果として採光が制限されることも。図面を見る際は、窓の位置や方位だけでなく、その正面に何があるか、どれだけ光が入るかをしっかり確認することが大切です。
設計で暗くなりそうと感じたら「光ダクト」の検討を!!

光ダクトとは、日当たりの良い窓から入った光を、直接窓に面していないお部屋へ高効率で届けることが可能な建築構造です。
原理はとてもシンプルで、採光する窓や天窓と光の欲しいお部屋を鏡の筒でつなぐだけです。
鏡でできた光のトンネルを作るようなイメージになります。ほかの隣家によって陰になりにくい天窓で採光すると効果的です。
構造的には吹き抜けと同じですが、光を非常に効率よく届けられるので、吹き抜けのように2階部分の床面積を大きく減らしません。
そのため、限られた土地でも床面積を確保しながら、1階を明るく出来るのです。
設計で暗くなりそうと感じたら、光ダクトも検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
設計時に室内の明るさをイメージするのは非常に難しいですが、新築してからではリフォームが難しい場合が多いため、設計時に出来るだけ明るくするための工夫が必要になります。
基本的には、間取りと窓の関係を確認することで、お部屋に応じた明るさを得ることが出来ます。
ですが、土地や周辺環境によっては、一般的な間取りだけでは明るくすることが難しい場合もありますので、光ダクトのような住宅全体の工夫も検討してみましょう。

































































