湿度が低いのは家の問題!? 乾燥の原因と快適なお部屋にする対策とは
- 鋼鈑商事株式会社 建材事業部
- 2017年12月26日
- 読了時間: 7分
更新日:11月6日
「加湿しているのに、なんだか部屋が乾燥している…」そんな悩み、ありませんか?
加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりしているのに、空気が乾いていると感じることはありませんか?実はその乾燥、加湿の方法だけでなく、家の構造や環境が原因になっていることもあるんです。
この記事では、部屋が乾燥する意外な原因と、快適な湿度を保つための対策について、わかりやすくご紹介します。乾燥による体調不良を防ぎ、心地よく過ごせる空間づくりのヒントをぜひチェックしてみてください。
お部屋の乾燥は、健康にも住宅にも悪影響!

乾燥が引き起こす健康へのリスク
室内の湿度が低い状態が続くと、のどの痛みや肌の乾燥などの不調を感じやすくなります。
さらに、インフルエンザや風邪などの感染症にもかかりやすくなるため、乾燥対策は健康管理の面でもとても重要です。
住宅にもダメージを与える乾燥
乾燥の影響は人の体だけではありません。
室内の湿度が極端に低くなると、床材や建具などに使われている木材が反ってしまうことがあります。これは、住み心地の低下や住宅の劣化につながる可能性もあるため注意が必要です。
快適な暮らしのために、乾燥対策を
乾燥は、住む人の健康だけでなく、長く住み続ける住宅にも悪影響を及ぼします。
だからこそ、冬場の乾燥対策はしっかりと行いたいものです。次の章では、乾燥の原因と具体的な対策について詳しくご紹介します。
お部屋が乾燥する原因とは?
それでは、お部屋が乾燥する主な原因についてご説明します。
冬に乾燥するのはなぜ?日本の気候と温度差が原因
冬の乾燥は、実は「温度差」が大きな原因です。人が快適に感じる室内温度は20〜28℃ほどですが、冬の外気温は10℃以下、寒冷地では0℃を下回ることもあります。これだけでも10℃以上の差があり、空気の性質に大きな影響を与えます。
空気中の水分量を示す「絶対湿度」は温度に左右されませんが、「相対湿度」は温度によって変化します。温度が高いほど空気が保持できる水分量が増えるため、同じ水分量でも暖かい空気ほど相対湿度は低くなります。
たとえば、外気が5℃で相対湿度100%だったとしても、室内で24℃まで暖めると、相対湿度は約30%まで下がってしまいます。これが「乾燥している」と感じる理由です。外気温がさらに低くなると、室内の乾燥はますます進んでしまいます。
乾燥の原因は「24時間換気」にもあった!
現代の日本の住宅は、寒さ対策として気密性が高く、隙間風が入りにくい構造になっています。その一方で、シックハウス対策や湿気の滞留を防ぐために「24時間換気システム」が導入されており、常に外の空気を取り込みながら、室内の空気を排出しています。
この換気によって、室内で加湿しても外から乾燥した空気が入り続けるため、湿度がなかなか上がらないという問題が起こります。つまり、乾燥の原因は日本の冬の気候だけでなく、住宅の換気設備にもあるのです。
お部屋の乾燥を抑える5つの対策!

換気量の調整で乾燥をやわらげる
多くの住宅には、24時間稼働する換気設備が備わっています。一般的な「第三種換気方式」では、LDKや寝室の吸気口から外気を取り込み、キッチンやトイレ、浴室の換気扇で排気する仕組みです。
この換気によって、室内に乾いた外気が常に入り込むため、加湿しても湿度が上がりにくくなります。そこで、換気扇を止めたり吸気口を閉じたりすることで、外気の流入を減らし、乾燥を抑えることが可能です。
ただし、換気量を減らすと空気の流れが悪くなり、シックハウス症候群や結露、カビの原因になることも。調整する際は、体調や住宅への影響をよく観察しながら、慎重に行いましょう。
部屋に合った加湿器を選ぶことが大切
加湿器を使っても効果が感じられない場合は、加湿量が部屋の広さに合っていない可能性があります。広い部屋ほど必要な水分量が多くなるため、加湿能力の高い機種を選ぶことが重要です。
たとえば、8畳の部屋と16畳の部屋では、必要な加湿量は単純に2倍になります。部屋の広さに合った加湿器を使うことで、湿度を効率よく保つことができます。
また、観葉植物や珪藻土などの調湿アイテムを併用することで、湿度を安定させる効果も期待できます。加湿器と組み合わせて、湿度を逃がさない工夫をしてみましょう。
乾燥対策には「輻射式暖房」もおすすめ
冬の暖房といえばエアコンが一般的ですが、乾燥の面ではあまり適していません。エアコンは空気を急速に暖める一方で、空気だけが温まり、湿度が下がりやすくなります。
乾燥対策として効果的なのは、輻射熱で体や部屋をじんわり暖める暖房器具です。石油ストーブ、薪ストーブ、オイルヒーターなどは、空気よりも体や壁・床を直接温めるため、室温を低めに設定しても快適に過ごせます。その結果、相対湿度も高く保たれやすくなります。
ただし、石油や薪を使う暖房器具は二酸化炭素を発生させるため、定期的な換気が必要です。一方、オイルヒーターや温水式暖房は燃焼を伴わず、安全性が高いのが特徴です。
最近では、冬は温水、夏は冷水を使って輻射で冷暖房する設備も登場しており、快適性と省エネを両立する選択肢として注目されています。
サーキュレーターで空気を循環
冬なのに窓が結露する…それは、加湿した空気の水分が窓付近で使われてしまっている証拠です。せっかく加湿しても、これではもったいないですよね。
そんなときは、サーキュレーターで空気を循環させるのがおすすめ。結露しやすい場所に風を送ることで、湿度の偏りを防ぎ、結露の発生も抑えることができます。
換気設備を見直す
少し大がかりになりますが、乾燥対策として「換気設備の見直し」も有効です。一般的な第三種換気方式はコストが低く普及していますが、温度や湿度の保持には不向きです。
最近注目されている「熱交換換気」は、排気する室内の空気の熱を利用して、外気を暖めてから取り込む仕組み。空気は混ざらないため衛生面も安心です。これにより、外の乾燥した空気の流入を抑え、加湿した空気が逃げにくくなります。
さらに、空気清浄機と組み合わせることで、室内の空気を清潔に保つことも可能です。
導入には空調設計が必要なため、検討する際は住宅メーカーや設計事務所、設備業者に相談しましょう。
お部屋が乾燥しにくい工夫を取り入れた「そらどまの家」

一般社団法人エコハウス研究会が提唱する住宅「そらどまの家」の構造を取り入れた住宅が注目されています。
「そらどまの家」では、呼吸する壁や輻射冷暖房、全熱交換換気など乾燥を抑えるための工夫が多く取り入れられています。
「そらどまの家」のデメリットとして、一般的な住宅よりも、設備などが多く入っているため建築費用が高くなってしまう、ということがあります。
ですが、安い旗竿地と光ダクトを利用して土地代を節約することで、総額費用を抑えた住宅事例もあります。
限られた予算で最大限の要望をかなえることが出来ますので、こちらの事例もご参考ください。
まとめ
冬に乾燥してしまう日本の気候で、住宅の湿度を快適に保つには加湿だけでは十分ではありません。
お部屋の乾燥は、空調設備や暖房器具など湿度に影響しているため、乾燥の原因となる住宅の問題を理解してしっかりと対策を行いましょう。






































