住宅用の土地探しの際、どのようなポイントで選びますか?
駅からの距離?
コンビニが近くにあるか?
日当たりの良さ?
・・・などなど、それぞれ希望する条件はあると思いますが、問題になるのは費用です。
条件の良い土地ほど価格が高く、迷っているうちに売れてしまう、といったこともあり、条件をある程度妥協しなければ、短期間で土地を買うことは難しい場合も多くあります。
今回は、土地探しの際のポイントと妥協できる部分についてご説明し、賢い土地探しの方法をお教えします。
希望の土地を見つけられるかは、予算と運次第!!
住宅の計画を始めてから、何年も土地が買えないでいる人もいるくらい、土地探しは住宅を建てる流れのなかでも難しい部分です。
土地探しが難しい理由は、土地はたくさん売りに出されないこと、そして、条件の良い土地ほど価格が高いことに尽きます。
土地は、お菓子や家電のような工業製品のように同じ形状でたくさんつくられるものではなく、一つ一つの条件が異なっています。
すでにあるものしか存在せず、新しく増えるということもほとんどありませんので、土地の持ち主が売らなければ買うことができません。
条件の良い土地であれば、売りに出す人も少ないため、土地の価格も上がります。
予算に余裕があれば、どのような条件でも買うことはできますが、多くの人はそうではありません。
希望に合う土地が売りに出されても、考えている間に、買われてしまうことも多くあります。
完全に希望の条件を満たした土地を見つけることには運次第ですが、実際には予算やタイミングの関係で難しいため、土地探しにはある程度の妥協が必要となるのです。
土地探しのポイントと妥協時の対応策
土地探しの際のポイントと、妥協できる点を整理してみました。それぞれの方の状況に応じて条件に対して優先順位を決めると、土地を探す際に見るべきポイントがはっきりします。
地域
まず初めに決めることは、どの地域で探すか、ということ。地域はもっとも重要な要素です。
○○市周辺や、鉄道の△△線沿線など、土地探しの範囲をある程度絞ります。
範囲が広いと何百件や何千件と確認しなければならなくなります。逆に範囲が狭いと全く土地が見つかりません。
〇ポイント1:親族や地域との関係
それぞれのご家庭によって最も大きく変わるポイントです。全く影響しない人もいますが、逆に大きく影響して、範囲が限定される人もいます。
住宅街に一戸建ての場合は、ご近所づきあいも必要となります。
知らない人の中で生活できるか、どうかで、土地探しの選択肢が大きく変わりますので、家族でしっかりと話し合いましょう。
〇ポイント2:通勤や通学の利便性
都市部では通勤や通学に、電車やバスなどの公共交通機関を利用することが多くなります。
目的地にスムーズに行けるかどうかが一つのポイントとなります。
最寄り駅はどこで、通勤や通学時間はどれくらいか、乗り換えが必要かどうか、などで地域が決まることも多いです。
通勤や通学時間をどれくらいまでなら大丈夫か、ということは大きな妥協要因となります。
利便性が悪く、人気のない地域は土地の価格も安くなる傾向にあります。
車で通勤や通学する地域でも、傾向としては同じです。
通勤や通学のときに、本を読んだり勉強したりと、それぞれで苦にならないような方法を見つけられれば、ある程度妥協できます。
〇ポイント3:災害に対する危険度
近年、多くの災害に見舞われた日本では、地域の災害に対する意識も高まってきました。
洪水や土砂災害に対する危険度をまとめた「ハザードマップ」も良く参考にされています。
防災に対するリスクは、なかなか妥協できるところではありません。お勧めはしませんが、災害の種類によって住宅の保険商品である程度カバーできる場合もあります。
立地
立地とは、地域よりもっと具体的な土地の場所や周辺環境のことです。駅、学校、店舗、医院、までの距離や道路、隣家の状態など多岐にわたります。いくつかのポイントを絞って説明します。
〇ポイント4:生活の利便性
食料品を買うスーパーは近所にあると便利ですが、最近ではインターネットで注文して自宅まで届けてくれるサービスも増えてきました。
サービスによって異なりますが、品質や保存状態も向上していますので利用すればスーパーの近く、という条件は妥協できます。
また、自転車も電動アシスト方式の製品が、それなりに安価で軽量となり使いやすくなりました。
移動方法に自転車を使うことを視野に入れれば、ある程度商業施設などが近くになくても生活できます。
〇ポイント5:騒音の有無
夜間の静けさは、快適な住環境となるポイントの一つです。交通量の多い道路、線路や踏切、繁華街から少し離れているほど影響が小さくなります。
騒音は住宅の遮音性能を良くすることで多少緩和できます。木造や鉄筋コンクリート造といった構造や壁の材質、気密性など、それぞれの工務店やハウスメーカーで異なります。
利便性を良くしつつ騒音も気になる方は、建設会社も比較してみましょう
〇ポイント6:日当たりの良し悪し
一般的な住宅街であれば、2階建てで南側に庭を作ればそれなりに日当たりがよい住宅になります。
ですが都市部では、土地代が高いため土地が狭くなり、居住空間を確保するために3階建て、さらに敷地境界線ぎりぎりに建てられることも多くあります。
通常の2階建ての間取りでは、日当たりが悪くなってしまいます。
隣家が3階建てであれば、同じ高さまでの建築物は建てられますので、リビングを2階や3階にしたり、吹き抜けや光ダクトを利用することでも日当たりは確保できる場合もあります。
建築側の工夫で妥協できますので、建設会社や設計者に日当たりのシミュレーションを行ってもらうなどして事前に検討しましょう。
光ダクトという構造を利用して、日当たりが悪く土地価格の安い旗竿地に明るい注文住宅を建てることも可能です。
その他の条件
地域と立地以外のポイントをまとめました。
〇ポイント7:土地形状
一般的な整形地と比べ、旗竿地や三角形や台形などの長方形以外の形状の土地、または、傾斜地などの斜面にある土地の比整形地は土地価格が安くなるため、検索すると多く出てきます。
あまり人気のない土地のため売れ残っているからですが、人によってはお得になることもあります。
例えば、旗竿地はほぼすべての方位を隣家に囲まれることになりますので、日当たりは非常に悪くなりがちです。
ですが上のように建築で日当たりを確保できれば、日当たりに関してはデメリットではなくなります。
ですが、工事車両が入りにくく工事費が増加したり、自動車を置きにくかったりするので、ほかのデメリットも合わせて考える必要があります。
そして、今後売却ときには売れ残りやすいですので、検討するのは長く住み続ける方がよいでしょう。
〇ポイント8:土地面積
家族構成で必要な広さは変わりますので、どれくらいあれば良いかはそれぞれです。
建蔽率や容積率、高さの規制によってその土地に最大限建築できる建物の大きさは決められていますので、事前にどのくらいの住宅になるかは想定できます。
上手な設計者であれば、狭い土地でも狭さを感じさせないつくりにすることはできます。
土地面積が小さい場合には、いわゆる狭小住宅の得意な設計事務所や工務店に依頼してみてはいかがでしょうか。
〇ポイント9:電気・ガス・水道設備
それぞれあるに越したことはないですが、なかったとしても、工事で引き込むことはできます。
多少の費用がかかりますので、引き込み費用を想定しておきましょう。
また、電気と水道は必須ですが、ガスはオール電化にすれば必要なくなりますので、こだわらなければ妥協できる部分です。
〇ポイント10:建築法規関連
妥協以前に、必ず確認しておかなければならないことは、その土地に住宅が建てられるかどうか、ということです。
最もわかりやすい例が、旗竿地の接道に関する規定です。
どのような土地でも、住宅を建てる場合には、敷地が建築基準法に定める道路幅4m以上の道路に2m以上敷地が接していることが必要になります。
旗竿地の場合、道路に接している部分が小さくなりますので、2m以上の幅がなければ住宅は建てられません。必ず、不動産購入前に確認しましょう。
賢い土地探しの方法とは?
土地購入よりも先に、家を建てる会社や設計事務所を決めることです。
各ポイントごとに説明しているように、不動産や建築は専門家でないとわからないことが多くあります。
いい土地は、すぐに売れてしまいますので、すぐに決断することが求められます。
そのようなときに、住宅の専門家である工務店やハウスメーカー、設計事務所の方に見てもらうだけでも、安心感が違います。
そのほかにも、購入予定の土地に合わせて住宅プランを提案してもらうこともできます。
日当たりが悪かったり、変形地で住宅を立てにくそうな土地でも、どのような住宅が建てられるかがわかるので、土地を判断できる材料となります。
さらに、追加で必要になりそうな建築時の注意点がわかり、全体費用を把握しやすいこともメリットの一つです。
住宅を建てることにも多くの費用がかかりますが、土地によって追加で費用が発生するかしないかを考えてもらえます。土地価格と工事費用のバランスで土地を比較できます。
逆に言えば、土地を先に購入してから工務店やハウスメーカーに行っても、家の広さが十分に取れなかったり、費用が想定よりもかかってしまったり、といったトラブルが生じるリスクがあります。
土地探しは住宅の専門家と一緒に行うことをお勧めします。
まとめ
土地探しで希望の土地を手に入れることは大変難しいですので、妥協する部分が必ず出てきます。
妥協する際は、希望に優先順位を決めて、絶対にはずせない部分と、建築側の設計で解決したり、工事などの追加予算で対応する出来る部分を分け、土地代と比較しましょう。
土地探しの際、住宅会社や設計事務所など建築の専門家に意見を聞けるように、土地購入の前には住宅会社や設計事務所を決めることをお勧めします。